預金通帳は銀行側には維持費として負担になっているらしく、それを利用者に負担させる動きがあります。中には預金通帳を発行しない銀行もあるようで、
「元気なウチは良いけれど、認知症になったらどうするんだろう?」
と認知症の母の介護経験がある私は心配になります。
認知症が進み始めたころ、母は暗証番号を忘れてしまいATMで間違えた暗証番号を繰り返し入力したために口座を凍結されてしまいました。
母はそのことを恥と思ったようで家族に黙っていたのですが、生活費がなくなって家族にバレました。
そのとき、預金通帳があったおかげで、母が利用していた銀行が分かり、私は利用再開の手続きができました。
また、母は認知症が進むと猜疑心が強くなり、家族にお金を盗まれたと騒ぎ始めるようになりました。猜疑心が強くなることは認知症の症状としてよくあることです。そのため、預金通帳やカードは母に隠されてしまいました。
我が家は財産管理は全て母が行っていたため、まとまった定期預金などは一切おろせなくなってしまったどころか、母が他界したあとも、どこの銀行にいくらあるのか、身近で介護していた私にも分からない事態となりました。
それが分かったのも預金通帳のおかげです。母の死後、膨大な遺品整理を時間をかけておこなうことになった私ですが、ジャケットの内ポケットや写真アルバムの間、洋服タンスの下などから合計3冊の預金通帳を発見しました。
カードもあったはずなのですが、結局カードは見つかりませんでした。母が色々なポイントカードと見分けがつかなくなったすえに捨てたものと私は想像しています。
一番良いのは、元気なうちに家族に利用している金融機関と持っている財産を知らせておくことなのですが、そんなことをしている家族が日本にいくつあるでしょう?
また、子供が年を取った親に、
「お母さん、いくらくらい財産あるの?」
なんて直球の質問できますか?
預金通帳があると、死後、遺品整理の際に遺族に発見してもらえる確率が上がります。少なくとも小さくて薄っぺらいカードよりは発見しやすいはずです。
人間、いつ何があるか分からないのだから、財産を遺す人がいる方は預金通帳を持っていた方がいざと言うときの保険になるはずです。