宇佐見秋伸、メディアワークス文庫
☆☆☆
『入居者募集中。ご相談は斎藤家(大家)まで、わけありの方も歓迎です。』
という張り紙のあるアパート、それが《斎藤ハイツ》です。
そこへ期待を裏切らない、わけありの入居希望者がやってきて大家さんと関係を持ちます。
物語には時代を変えながら、4人のわけあり住人が登場します。入居している時期が違うので4人の間に関係はありません。4章プラス1章の構成で成り立っています。
どんな風にわけありなのかばらしても内容が想像できないと思うのでばらします。
①復讐するためにターゲットの近くに引っ越してきた男。
②空き巣に入ろうとして大家に見つかり、苦し紛れにアパートの入居希望書にサインした男。
③駅で3千万円入ったバックを拾い、隠し持っている男。
④身を隠すために引っ越してきた殺し屋。
こんな人たちとどんなドラマが展開されるのか想像するのは難しいと思います。しかし、きちんとした人情噺として完成しているので心配無用です。
読み終わった後、生きていくのは難しいけれど、人生捨てたもんじゃない、と思わせてくれるお話です。