猫旅リポート

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有川浩文藝春秋
☆☆☆
怪我をした猫(ナナ)を助けた縁で飼うことになったサトルですが、よんどころない事情でナナが飼えなくなり、引き取ってくれる人をさがすため、ナナをワゴン車に乗せて旅に出ることになります。サトルは初対面の人に会いに行くわけではなく、かつて交流のあった友人に前もって猫を引き取ってもらえるか打診し、良い返事をもらえた友人とナナの相性を見るために出かけていきます。

 

物語の中では、小学生時代の友人、中学生時代の友人、高校と大学を通じた友人の順で会いに行くのですが、サトルはどの友人ともかつて濃密なドラマがあり、ナナと友人のお見合いよりも、サトルと友人のドラマを中心に話しが展開されます。

 

ナナは擬人化されていて、ナナの考えたことや台詞にかなりの部分を費やしています。猫から人間社会を眺めたらこんな風にみえるのかな、なんて思いながら私は読みました。

 

ナナの良い飼い主を見つけるための旅なのですが、お見合いが不調に終わり、ナナと一緒に帰途につくサトルがホッとしていることやナナのサトルへの優しい気持ちに心が温まります。

 

全編を通して、不遇な主人公がいつの時代も自暴自棄にならず、回りの人間や猫と良好な関係を築くことで友情を交わす姿に私は好感を持ちました。

 

作者の有川さんは恋愛でも、友情でも、人と人(猫?)との心温まる交流を書かせると一流ですね。