大島真寿実、小学館
☆☆☆
《虹色天気雨》の続編です。これを先に読んでいないと作中の人間関係が分からないので、《虹色天気雨》を読んでから《ビターシュガー》を手にしましょう。
アラフォーになった市子、奈津、まりとその友人たちの日常を市子の目線で描いた物語です。
市子、奈津、まりは中学から高校のときに知り合って、現在まで交流が続いた親友です。ここで40歳以上の方に質問したいのですが、こんな友人を皆さんは持っていますか?
私にはいません。年賀状で生存確認をし合う相手が数名いますが、学生時代の友人とは卒業式を境に一度も会っていません。なので、二十年以上も付き合いを続けて、絶交に至る喧嘩もしなければ、なんとなく疎遠になることもなく、適度な距離を保って交流が続いている市子たちを羨ましく思いました。
とくに、市子みたいな友人がいたら素敵だなと思います。市子はフリーランスの物書きなので家にいることが多いのですが、それをイイことに友人たちが人恋しくなると市子の家へ押しかけるのです。市子も自然な形でそれを迎え入れるため、市子の家は寂しがり屋の避難所になっています。もしも、私に市子みたいな友人が近所にいたら、私は週一で遊びに行くことでしょう。
年を取ると出会いが少なくなるものだし、友人だった人とも疎遠になってしまうことが多いのが普通だと思います。世の中に人はたくさんいますが、親友と呼べる人と巡り合うことは奇跡ではないでしょうか?適度な距離を保って助け合っている市子たちの友情は、多くの人が望む幸せの一つの形だと思います。