シェアハウスかざみどり

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名取佐和子、幻冬舎
☆☆☆
神戸をモデルにした街が舞台になっています。この街の山の手にある高級住宅街に風見鶏が目印のお洒落な洋館があります。

 

日本が開国されたころに建てられた歴史あるこの洋館は現在、シェアハウスとして利用されています。ここに、お試し期間中はタダで住めるという条件を不動産屋から提示され、4人の男女が暮らし始めます。

 

はじめは、偶然、共同生活を送ることになったと信じていた住人たちですが、自分たちが誰かの意志によって集められたんじゃないかと疑い始めます。でも、自分たちには過去に接点もなければ、共通点もありません。謎は深まるばかりです。

 

住人たちの唯一の共通点は、生きるのが下手な人ばかりということです。誰かのためにと思って行動するのですが、それが良い結果に結びつかないのです。それどころか、善意が不幸な結果に終わることもあって、生きることに自信を無くしてしまった人もいます。

 

物語は5章からなっていて、前の4章では住人たちが順番に主人公になっています。そこで、善意が仇になって凹んでしまったエピソードが語られます。世知辛い世間にも親切な人はいますが、それは自分が損をしない範囲のことであって、この本に登場するシェアハウスの住人たちのように、自分が損をしても他人につくしたいと行動できる人はとても稀な存在だと思います。

 

最終章で、謎解きがされるのですが、住人たちに希望を与え、読者の心が温まり、頭のモヤモヤがスッキリするラストが用意されています。