石和仙衣、講談社X文庫
☆☆☆
15歳で身寄りをなくした女の子(=岩倉たがね)が生活するためにそれまで住んでいた山奥から独りで東京へ出てきます。しかし、生まれながらのドジっ子が災いしてアルバイトを転々とし、お腹を空かせて街をあてもなく彷徨っていたとき、電信柱に貼られた墨痕鮮やかな手書きの求人広告を目にします。たがねは広告を怪しいと思いますがお金がなくて、お腹が減っていたのでその求人に応募します。しかし、この求人広告は普通の人には見えないおまじないがかけられた不思議な求人広告だったのです。
雇い主の家に住み込みで働くことになったたがねですが、雇い主の職業にまず驚かされます。雇い主の仕事は異世界から迷い込んできて、人に害をなす化け物を駆除することだったのです。
話しはファンタジーですが、たがねの悩みは特別なものではなく、身寄りをなくしたことによる孤独だったり、何をするにも不器用で失敗ばかりしていることだったりと、多くの人に共感できるものなので感情移入できると思います。また、たがねを温かく迎え入れる周囲のキャラクターたちとのやりとりにも心がほっこりします。
みなさんも、失敗しても美味しいご飯を食べると復活しちゃうたがねから元気をもらって下さい。