山下卓、エンターブレイン
☆☆☆
『この小説はアニメ化したらいいのに!』
と思いました。もし、アニメ化されれば聖地巡礼で夏の大島を訪れる人がたくさん現れると思います。
仲が良かった姉の死をきっかけに男子中学生コウが衝動的に夏の大島へ傷心の旅へ出るところから物語が始まります。コウは竹芝桟橋から大島への船の中で最悪な形で同い年の美少女リンコと出会います。大島で泊まるところがないコウはリンコに連れられてリンコの家へ行くのですが、そこは美人4姉妹が暮らす、男子中学生にとっては夢のような家なのでした。
癒し系の長女ハルコ、グラビアアイドルみたいにナイスバディーな次女マリコ、氷の美少女の異名をとる三女リカコ、活発で気分屋な四女リンコ。はじめは幸福そうに見えた姉妹でしたが次第に違和感を感じ始めるコウ。少しずつ明かされる姉妹の秘密。そして、リカコの独白、
「ウチの家はね、いろんなことがちょっとずつ歪んで、わたしたち自身にもどうしていいのかわからないところまできちゃってるの。ちょっと触れただけで壊れそうなガラス細工をみんながこわごわと大切にしているような状態・・・」
を境にして話しが転回します。
コウは姉妹を救えるのか?そして、コウは自分の心の傷にどんな決着を着けるのか?
煌めく夏の大島を舞台にした再生の物語です。