「なんで、こんな本が時を超えて読み継がれているんだ?」
という感想しか持たないと思います。
この本の内容は冒頭に出て来る以下の有名な文に要約されています。
【恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです】
青森県の名士の家に生まれ、何不自由なく育てられたのに、精神を病んだせいで破滅の道を突き進んで行く男の独白の形をとって物語がすすんでいきます。
男は悪い友達と付き合い、酒と女に溺れ、ついにはモルヒネ中毒になり、最後には精神病院に入院させられてしまうのですが、そんな男に好意をよせて、世話を焼く女がいく人も登場するのが不思議です。ダメな男ばかり渡り歩く女を扱った本が一時売れていましたが、この様なことは今に限った話ではなく、昔からあったことだったんでしょうか。
純文学ということで、敷居が高く感じる方がいるかもしれませんが、平易な文章で書かれた短編小説なので、私は苦労せず読破できました。
《なんだかこの世は生きづらい》と感じている方に読んでもらいたい本です。