塚本はつ歌、産業編集センター
☆☆☆
二人の中学生の物語です。
一人は、両親が不仲で、家庭内で喧嘩が起こるたびに心を痛めている女子中学生。
もう一人は、医学的には男性なんだけれど、自分の性に違和感を感じている男子(?)中学生です。
現実世界に居場所がないと感じている二人はクラスの中で偶然というか、必然というか惹かれ合い、行動を共にするようになります。
問題解決のために何をすれば良いのか中学生なりに考えるのですが、出来ることは限られています。さて、どうすればよいのでしょう?、というお話です。
世界を円滑に回していくためには常識が必要です。人と交流するたびに一からルールを作りながらでは非効率だからです。
しかし、世界にはどうしても常識に従えない人もいるわけで、そういう人を常識から守ってあげるにはどうしたらいいのか、二人を通じて考えさせてくれます。それが、本の題名にもなっている《世界から守ってくれる世界》になります。
私も役所と言う巨大な組織の常識に押しつぶされて自己都合退職した身なので、あの時にこの物語に出て来るような避難所があったら良かったのになぁ、と思いました。