うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

魔女たちは眠りを守る

村山早紀、角川文庫

☆☆☆

読み終わって、

 

《葬送のフリーレン》

 

という漫画と似ている話だなと思いました。けっして、パクったとかではありません。

 

日本の古い港町、、、私が読んだ印象では函館や長崎のようなところ、、、に高校生くらいの歳に見える女の子が黒猫を連れて一人で住み始めます。

 

彼女の名前は七竈七瀬。じつは魔女です。七瀬が魔法を使って縁があった人たちを少しだけ手助けします。それも助けられた本人が気づかないほど自然に。

 

ただ、七瀬はとても長生きです。具体的に何歳まで生きるとは書かれていないのですが、読んだ印象では10年に一歳しか年をとらない印象です。

 

そのため、一か所に長く住んでいると周りの人に怪しまれるので、数年間暮らすと誰にも告げずに次の街へと移り住む暮らしを続けてきました。

 

人よりも十倍長生きするということは、これまでにたくさんの親しくなった人を見送ってきたということです。七瀬はときどき亡くなった人たちを思い出しながら一人で静かに暮らしています。

 

《葬送のフリーレン》と似ている点は他にもあって、人や獣の肉体が滅んだあとも魂は不滅という設定です。

 

フリーレンは死者の魂が存在する土地へ旅する物語ですが、この本では死者の魂が七瀬のもとにやってきます。その魂を人が感じることはできないのですが、七瀬は生きている人と同じように意志を疎通させることができます。

 

心優しく、魔法という人を超越した力を持ち、人の十倍長生きする。そんな運命を背負わされたら、どんなことになるかを作者の村山早紀さんは書いてみたのではないでしょうか。

 

いつも見送る側になる七瀬の気持ちを想像しながら読んでみてください。大人向けの心温まるファンタジー小説です。