藤野恵美、ポプラ社
☆☆☆
京都の住宅街の静かな路地にある、住む人の趣味の良さを感じさせる古い日本家屋で開かれている料理教室に集まった、男性4人の物語です。
4人の男性それぞれを主人公にした短編4つと、先生が料理教室を主催するようになったわけを明かした終章から成り立っています。本の題名になっている《初恋料理教室》が第一話の題名にそのままなっていて、恋愛小説はこの第一話だけです。
料理を本筋としたお話ではなくて、4人の人生が料理ができるようになることで好転していくという筋書きになっています。
年齢も、教室に通い始めた理由も違う4人が良好な人間関係を築きながら、楽しそうに料理教室に通う様子が微笑ましいです。
私もアパートと殺伐とした空気の職場の往復に疲れ、出会いを求めて市民オーケストラに参加したことがあったのですが、気の合う仲間を見つけられず、半年で脱退したことがあります。世の中に人はたくさんいますが、友人と呼べるようになる人とはなかなか出会うことは出来ませんね。こんな素敵な人たちが集まる料理教室が近くにあったらぜひ通いたいものです。