エーリッヒ・ショイルマン、SB文庫
☆☆☆
80年代、私がまだ高校生だったころに読んで感動した本です。本屋をブラブラ歩いていたら、見つけて、懐かしい友達に偶然出会ったような気分にさせられ、買って帰りました。
私が高校生だった80年代は携帯電話もインターネットも無く、今とはまったく異なる環境だったのですが、当時の私は
『こんなに文明が進んだのに、なぜ少しも幸せじゃないんだ』
なんて考えていました。そんなとき、推薦文の《南の島の酋長が語った文明批判》というキーワードに惹かれたんだと思います。
内容は第一次世界大戦直前のヨーロッパを旅した南の島の酋長ツイアビが島の同胞たちにヨーロッパのことを話してきかせた演説集です。演説集なので、平易な内容で1話は10~15分くらいで読めるようになっています。
一年中、外で裸になって寝ていても風邪を引かないで済む南の島の人々と寒冷なヨーロッパで暮らす人々では生活様式や思想に違いがあって当然なのですが、それでもなお、ツイアビが語るヨーロッパ人たちのお金、時間、機械、情報、物欲に対する姿への批判は傾聴に値するものです。
私個人としては以上のような理由で、現在、高校生である人たちに読んでもらいたいのですが、他にも、私のように
《こんなに物が溢れて、便利に暮らしているのに少しも幸せを感じられない》
という方に読んでもらいたいと思っています。もしかしたら、世界が違って見えるようになるかもしれません。そして、このブログをきっかけに本書を読んで下さった方、すでに読んだことがあるという方、よろしければ感想をコメントに書いて教えて下さい。