田口ランディ、幻冬舎文庫
☆☆☆
『私が自然に興味を持ち出したのは30歳を過ぎてからだった。それまで、アウトドアなどというものにまったく興味がなく、毎晩ネオンの海にダイブして二日酔いの頭に向かい酒』
という田口さん(女性)が屋久島を旅行して、そこで見た自然や出会った人を書いた旅行記です。
実は私、この本を10年以上昔に読んで、屋久島に行ってみたくなり、行ってきました。本の中で紹介されている白谷雲水峡と縄文杉をこの目で見てきました。
白谷雲水峡は人がとても少なく、長いこと一人ぼっちで深い森の中を登山してたんですが、休憩中の若い女性二人組に追いついて、姿からなんとなく《ピン》ときて、
「もしかして、田口ランディさんの本を読んでココに来てません?」
と質問したら、
「えっ、あなたもあの本を読んで来たの!」
と意気投合した楽しい思い出があります。
一見、平和そうに見える森の植物たちや海の中の生き物たちが常時、生き残りをかけた戦いをしていることを紹介したかと思うと、内地で試練にぶつかり屋久島の霊的なものにひかれるようにしてやってきた旅行者との交流など、少しスピリチュアルなお話も掲載されています。
自然科学からアウトドア、果ては人生の奥深さまで網羅した旅行記です。