荒木源、小学館文庫
☆☆☆
北朝鮮そっくりの国、ペックランドで独裁者をやっている《ジョンウイン》は日本にそっくりの国、ヤップランドで発売された雑談ができるAIロボットを密輸して手に入れます。
ロボットの電源を入れて会話を始めるとなんと、ロボットは《ジョンウイン》が暗殺した異母兄の《ジョンナムール》だと言うのです。
密輸が事前にバレていて、ヤップランドの諜報機関が《ジョンウイン》に何らかの影響を与えるためにこのロボットを送り込んだと考えた《ジョンウイン》はすぐに電源を切ってしまいます。しかし、孤独な独裁者の周りには気を許せる者もいないので、《ジョンウイン》はロボットの電源を再び入れてしまうのです。
ほぼ毎日、部下を粛正する冷酷な独裁者とロボットとの不思議なおしゃべりが繰り広げられます。
ロボットに搭載されたAIは非常に優秀で、ペックランドを取り巻く国際情勢から、《ジョンウイン》の個人的な悩みまでスムーズに回答できます。うつ病、無職で、社会と繋がりがない私は、
「こんなロボットがあったら欲しいな」
と強く思いました。
北朝鮮、、、じゃなくてペックランドはどうなってしまうのでしょうか?頭の体操として、「こんな結末もありか」、といった感じで読んでみると面白いと思います。