うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ゆうれい居酒屋

山口恵以子、文春文庫

☆☆☆

新小岩駅南口、下町情緒あふれる商店街の路地裏にある居酒屋・米屋(よねや)。カウンター7席の小さなお店に今夜も悩みを抱えたお客が訪れます。定番のお酒と女将の手料理を口にすれば、お客はいつしか女将に悩みを打ち明けてしまいます。女将はそれぞれのお客にあるときは優秀なカウンセラー、またあるときは優秀なコンサルタントになって悩みを解決する糸口を与えます。

 

お客ごとに話が完結していて、1話40分くらいで読めます。通勤や病院の待合室で読むのに良いかもしれません。お客は以下の5人です。

 

一人目:家業を継ぐことに悩む男。
二人目:年を取って主役になれなくなった女優
三人目:結婚生活の悩みを持つ男。
四人目:苦手な食べ物が多い女。
五人目:高齢になり引退することを勧められてる料理人。

 

そして、お客が後日になってお礼を述べるために米屋を訪れると不思議なことが起きるのです。まぁ、それは読んでのお楽しみです。

 

作者の山口恵以子さんは料理小説に定評があるようで、お酒のおつまみに関する描写に紙面を多く割いています。挿絵はないのですが、文字を読んでいるだけで美味しさが伝わります。

 

敷居が低くて、料理がうまくて、悩みまで聞いてくれる女将がいる居酒屋なんてあったら、私なら通ってしまいます。こんなお店はありそうでないと思います。