小泉元首相とその参謀だった竹中氏が規制緩和を押し進めたとき、私は
「規制緩和って庶民のためにならないんじゃない?」
と懐疑的でした。もちろん、これだけ変化の激しい時代ですから役割を終えた規制や法律もあります。しかし、あの当時は
【規制はすべて悪、規制緩和はなんでも善】
と言った熱狂的な空気が世間に充満していて、
「自由って厳しいぞ」
なんて意見は口に出来ない雰囲気でした。ところで、どうして自由に競争することを邪魔するような規制や法律ができたんでしょう?
産業革命が興って資本家と労働者という階級ができたとき、競争を規制するものは何もありませんでした。強い人はどんどん金持ちになり、弱い人はどんどん貧乏になる時代です。その結果、社会不安が大きくなって国内は治安が悪くなり、ナショナリズムが高まって外国との関係は悪くなって戦争になりました。
その教訓として治安を守るために警察官を増やしたり、戦争で街がメチャメチャになるよりは行き過ぎた競争を規制して、富の分配が極端に偏らないようにした方が結局は安上がりだと考えた結果、今あるような規制や法律ができたのです。
今も有識者とされる人々が
「景気を良くするためには規制緩和が必要だ」
と唱えていますが、その中身をしっかり吟味する必要があると思います。
強い人は放置しても生きていけます。規制や法律は弱者のためにこそ必要なんです。