阿久井真、小学館
☆☆☆
私は長いことバイオリンを練習していたので、バイオリンを持った美少年が表紙に描かれていたというだけで、買ってしまいました。
読んでみると、もちろん表紙の美少年が主人公だったのですが、ネクラで、不器用で、運動音痴だったので、意外でした。てっきり、頭脳明晰、運動神経抜群、バイオリンはコンクールを総なめ、みたいなクールなキャラクターだと思ってました。
しかし、読み終わってみるととても面白いお話で、私は大満足でした。ネクラな主人公を引っ張りまわすヒロインとの掛け合いがコミカルですし、1巻の最後には将来、オーケストラでポジション争いすることになるライバルの出現もあり、2巻が出るのが今から楽しみです!
~蛇足です~
こういった音楽を題材にした物語では、圧倒的にピアノが取り上げられる機会が多いと思います。バイオリンを扱った漫画を私は他に知りません。多くの読者から共感を得るためには、マイナーな楽器は取り上げにくいのでしょう。
バイオリンは約3百年前から姿を変えていない原始的な楽器です。プレーヤーが音を出すのを助ける機構はまったくありません。そのため、出て来る音はプレーヤーの技量によるところが大で、同じ楽器を弾いても、プレーヤーが変わると音色がガラリと変わります。素人にもプレイヤーの優劣が分かりやすい楽器だと思います。