うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ふたご

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藤崎彩織文藝春秋
☆☆☆
本の題名は《ふたご》だけど、主な登場人物の月島悠介と西山夏子は双子ではありません。二人は、中学で知り合ってから友だちでもなく、恋人でもないという微妙な関係で物語の終わり、年齢で言うと二十歳前後まで濃密に交わるのです。

 

物語は夏子の目線で進んでいきます。夏子は友達を作るのが苦手。悠介は無計画で約束や規則を守れない問題児です。そんな悠介ですが、会話の端々に哲学的な一言を発するため、夏子は悠介と会話したいがために離れられなくなってしまうのです。

 

ここまでが物語の中盤までのお話しで、ここで悠介はいったん精神が崩壊し、行動が極端に制限される精神病院に強制入院となります。そして後半、再生の物語へ突入です。

 

無計画で精神的に脆弱な悠介を相手にしているので、夏子の意志は二の次で、二人の間で起こるあらゆることは悠介に起因して起こります。夏子によほどの愛がなければ続くはずのない二人の関係が破綻することなく、物語の終わりまで続くことは奇蹟としか言いようがありません。自信がない夏子は悠介との関係で悩んでばかりなのですが、

 

【あなたの悠介への献身は奇跡だ!】

 

と、私は何度も言ってやりたくなりました。

 

夏子の無償の愛に感動です。