うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

偽姉妹

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山崎ナオコーラ中央公論新社

☆☆☆

ファンタジー小説として読む分には面白い小説だと思いました。

 

主人公の正子は結婚と同時期に宝くじで3億円手に入れます。その直後に妊娠が分かり、1億円の注文住宅を購入し、結婚生活をスタートさせました。

 

ところが、旦那が「他に好きな女ができたから離婚してくれ」と言い出して、出て行ってしまいます。普通なら怒り心頭になる場面ですが、正子は、

 

「私のことを好きでもない男に私の財産を使われずに済んで良かった」

 

と思ってホッとするのです。

 

すると今度は、男に捨てられた正子と赤ん坊がかわいそうとばかりに、姉と妹が正子の家に乗り込んできて、一緒に暮らし始めます。

 

姉と妹はきちんとした定職があり、正子の財産が目当てではなくて、心から正子を気の毒に思って同居を始めたのですが、正子は居心地がよくありません。

 

そこに正子が親友2人を家に連れ込み生活させます。家の中には、正子と赤ん坊、姉と妹、正子の親友2人が同時に暮らし始めるのです。

 

そして、紆余曲折あって正子は姉と妹に家からの退去を命じて、親友2人と暮らし始めるのです。この親友2人に向かって、

 

「私と姉妹になってほしい」

 

とお願いして、戸籍上は他人だけれども、同じ家で姉妹のように暮らすという奇妙な関係が出来上がるのです。

 

ザッとあらすじを書いてしまいましたが、この小説の醍醐味は、なぜ正子がそんな風に考えるように至ったかなので、結果よりも過程を楽しむ作りになっているから問題ありません。

 

一度きりの人生なんだから、気が合わない人と我慢して暮らすよりも気が合う人と暮らす方が良いに決まっています。その大原則の前には血縁関係も関係ないのです。

 

ただし、物語の中で正子が自分の主張を貫き通せたのは1億円で買った持ち家と2億円の貯金のおかげであることは言うまでもありません。この点、現実ではありえないのでファンタジー小説と私は思うのです。

 

3億円あったらどんな風に生きるかという、モデルケースとして読むと良いでしょう。