うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

グッドラックららばい

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平安寿子講談社文庫

☆☆☆

文庫本ですが、5百ページを超える本なので読みごたえがあります。しかし、最初から最後まで退屈することなく読み通すことができました。面白い本です。

 

父、母、姉、妹の4人家族の物語なのですが、家族全員が超マイペースというか、自分勝手です。なのに、なぜか一つ屋根の下で暮らしているという不思議な集団です。

 

父=超平和主義者。無事を何よりも愛する。問題があっても見ないふり、気付かないふりを貫く。災難が直接降りかかると殻に閉じこもって、災難が去るのをひたすら待つ。

 

母=放浪癖がある。物語の始まりに姉が高校、妹が中学を卒業するのだが、姉の卒業式に出席したあと失踪する。以来、物語のラストシーンである20年後まで一度も家に帰らない。

 

姉=セックスが大好き。毎日、気持ちよくセックスするために人生設計している。そのため、付き合う男がどれもダメ男。働いて稼いだお金は、ダメ男を養うために使ってしまう。

 

妹=よく言えば向上心が強い、悪く言えば強欲。ハイリスクハイリターンな人生を送っている。そのため、浮き沈みが大きいが、沈んでもへこたれないタフな心臓の持ち主。

 

こんな4人ですが、滅茶苦茶なように見えて、地に足のついた生活をしていて、破滅するようなことはしません。無一文になることもあるのですが、悪い所からお金を借りてヤクザに追われるなんてことはないのです。

 

いわゆる、世間的な成功モデルとされる人生を送るキャラクターは一人もいませんが、4人とも世間を見る目は確かで、作中で名文句をいくつも言います。書いていくとキリがないので、姉が言ったセリフで私が気に入ったものを一つ転載します。

 

・・・・・
「人っていうのは、誰かが自分の思い通りにしてくれないとその人のことを悪く思うものなのよね。だから、人にどう思われるか気にしていたら、自分の思うようには生きられない。」
・・・・・

 

この家族が、家族として成立しているのは4人とも経済的に自立しているからです。経済的な自立があってこその自由な人生ですからね。殺人事件で一番多い理由は、血縁者間で起こるもめ事が原因です。殺し合うくらい憎み合う家族よりも、この家族の方が百倍健全だと思います。