うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

耳をすませば

樹島千草、集英社文庫
原作:柊あおい

☆☆☆

ジブリアニメで映画化された物語の10年後を描いた小説です。この小説は実写化されて10月14日から上映される予定です。

 

中学生だった雫と聖司の10年後が気になって衝動買いしました。

 

まず、設定がアニメと少し違います。一番分かりやすいのが、聖司がバイオリン職人ではなく、チェロ奏者を目指してイタリアに留学していることです。ですから、アニメでは聖司のバイオリン伴奏で雫がカントリーロードを歌いますが、こちらではチェロの伴奏で《翼をください》を歌っています。

 

バイオリン職人では10年後の物語が書けなかったんでしょうか?

 

雫はあの後、学生時代を通じて小説の投稿を続けますが箸にも棒にも引っかからなかったので、出版社の編集者をしています。物語ではこのことを不本意ながら編集者になったみたいに書いてありますが、小説の編集者は人気職業で高偏差値の大学を卒業した人たちが席を争ってなるものなので、雫が学生時代を通じてまじめに過ごしていたことが想像できます。

 

そんなわけで、戸惑いながら読み進めた私なのですが、感想は可もなく不可もなく、優等生が書いた模範解答といった小説で、意外性はまったくありません。

 

聖司が演奏家としてイタリアで生計を立てられるようになったのに対し、雫は日本で執筆を続けてはいるもののなんの受賞歴もなく小説家としては無名のままで物語のラストを迎えます。このアンバランスな状況で、二人が選ぶ未来はどんなものになるんでしょう?

 

まぁ、模範解答と言ってしまっているので分かりますよね?こんなことなら、ジブリアニメの方でラストシーンにナレーションで、

「このあと、二人は十年後に結婚して幸せになりました」

と入れておくだけで良かったと思います。