有馬カオル、東京創元社
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一流の料理人を目指して修行をしてきた実果(20代後半)ですが、腕前が認められて一流料理店に転職が決まった直後に腕を骨折、そのときに病院へ付き添ってくれた同棲中の恋人は実果が帰宅すると荷物とともに蒸発していたという、天国から地獄へという体験をします。
実果は心の傷を癒すために瀬戸内の小島にある民宿に約一か月滞在します。
この物語は、その一か月間に島で体験したことが書かれています。島民との交流や自然の素晴らしさが書かれています。
ネタバレになりますが、実果はココで英気を養い、東京へ帰っていくのですが、実果の料理の腕を島で生かせないものかと考えてしまいました。
しかし、瀬戸内の小島に暮らす人々が、一度の食事に1万円以上払うことなんて滅多にないでしょうから、実果のような生業で生計を立てる人は大都会で暮らすよりないんでしょうね。
実果と島民がせっかく仲良くなったのに、ここから発展する余地がないのが残念な気持ちになりました。