うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

フラダン

古内一絵、小学館文庫

☆☆☆

青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれたことのある青春小説です。

 

舞台は東日本大震災から5年後の福島県です。高校二年生の辻本穣(ゆたか)は水泳部の人間関係に嫌気がさして退部し、今まで練習に打ち込んでいた時間をどのように過ごしてよいのか途方に暮れています。

 

そんな穣を同じ高校の澤田詩織がフラダンス愛好会に強引に勧誘します。なんで俺がと思いながらも穣は入会するのですがどうなるのか、というお話です。

 

フラダンス愛好会が慰問活動を行っているため、お話が学校の中だけで終わらず、震災から5年後の福島を描いていて良いと思いました。そのため、ただの青春小説ではありません。

 

そして、生きていくコツが書かれています。それは、穣が何をして良いのか迷っていたときに渋々ながらも詩織の勧めに従ってフラダンスを始めることです。暗中模索のときには他人の助言に従ってみると世界が開けるときがあります。成功者のお話を聞いていると、人との出会いが人生の転機になったと言う人が多いです。運は人が連れてくるんです。

 

それから、笑いと笑顔の大切さを書いていること。震災から5年経っても生活の再建ができない人たちが登場して暗い現実が描かれているのですが、穣たちはユーモアと笑顔を忘れないし、ときには空元気でも笑顔でいるのです。「笑う門には福来る」は本当のことです。

 

青春小説を読みたい人に推薦したい本です。