伽古屋圭市、小学館文庫
☆☆☆
春日井楓子(25)は憧れの映像業界に入ったものの、激務によって自己都合退職しました。
ちょうどそのころ、年齢から駄菓子屋をたたもうと思っていた祖母から、
「だったら、あんたがやってみない?」
と声をかけられて、《駄菓子屋のおばちゃん》になります。
25歳で「おばちゃん」と声を掛けられることに戸惑っていた楓子ですが、お客の中に気になる子供がいることに気づきます。その子は人気がなくなる夕方にやって来て、3百円分の駄菓子を買って帰るのです。
9歳くらいに見える子供が一度に3百円も使うことに違和感を感じていた楓子ですが、あるとき、「これはネグレクトでは」、と頭の中でアラームが鳴ります。
楓子は駄菓子屋の営業が終わった後に子ども食堂を開くことを決めます。さて、上手くいくかどうか、というお話です。
本の中では、他に摂食障害の女子高生と貧困家庭の小学生が登場します。楓子がどの子に対しても施しをして終わりではなく、子供たちの自尊心を傷つけないように慎重にアプローチしているのが好感が持てます。
居場所がない子供たちにどうやって居場所を作るか、楓子と一緒に考えてみてください。