花形みつる、ポプラ文庫ピュアフル
☆☆☆
中学校の美術部を舞台にした賑やかで楽しい物語です。
春になり、美術部は三年生が一人もいなかったため、二年生なのに部長になって、変人たちをまとめていかなければならなくなった根岸節子が主人公です。
対外的な実績がなく、部活として認められる最少人数だった美術部は校長先生から目をつけられ、部室を取り上げられてしまいます。その上、部費まで全額カットされ、存続の危機です。
ここで、節子のキャラを副部長が端的に言った言葉を紹介します。
【目的のためには手段を選ばず後悔も反省もしないヤツ】
こんな節子が、最初に取り組んだのが活動費の捻出です。しかし、最初は上手くいっていた秘密の副業も、変人たちが悪ノリしすぎたため、校長先生に露見し、両者の溝をいっそう深くしてしまいます。
美術部廃止の土壇場で、節子はキレて校長先生に
「賞をとればいいんでしょ!実績を示せば文句ないんでしょ!」
と啖呵を切ってしまうのです。節子の暴発により窮地に陥った美術部員たちが、節子の強いリーダーシップのもと、コンクールに向けて作品作りに乗り出します。そうなのです、節子はものすごく諦めの悪い女だったのです。
活動するためのお金も場所もない、八方ふさがりな美術部員たちの奮闘を応援してください。