石田祥、宝島社
☆☆☆
久しぶりに恋愛小説を読みました。それというのも、最近の恋愛小説はハーレム系ばかりで、書いてる方も読んでる方も頭のねじが緩んでいるんじゃないかと思うような作品が多くて意識的に避けていたからです。
しかし、この作品は《第9回日本ラブストーリー大賞》を受賞しただけあって、合格点をつけられる作品でした。
おんぼろアパートの大家である祖母の代わりに家賃の回収に行った早苗(25)は、部屋の裏庭でトマトを栽培する大学農学部の講師である日置六郎(32)と出会います。日置にもらったトマトがあまりにも美味しかったのと冷房がない部屋の熱気のせいで早苗は、熱に浮かされるように日置と寝てしまうのです。
その後、早苗は日置から仕事の依頼をされます。日置には出世の話があるのですが、そのための条件の一つに《既婚者である》というのがあり、差し当たって相手がいない日置は早苗に一か月間、日置の上司である教授の家で婚約者として一緒に生活して欲しいと頼み込んだのです。
早苗はこれを受け入れ、一つ屋根の下、同じ部屋で日置と暮らし始めるのですが、教授とその奥様、入れ代わり立ち代わり出入りする研究室の学生たちなどなどの目をごまかし続けることはできるのでしょうか?
そもそも、出会って間もない日置のことをそんなに信用してイイわけ!?
とそんなツッコミを入れつつ、ケンカしたり、イチャイチャしたりする二人を楽しく読むことが出来ました。適齢期の女性が、明るい恋愛小説が読みたいと思った時に手にするとよい本です。