うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

おたがいさま れんげ荘物語

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群ようこ角川春樹事務所

☆☆☆

無職の中年女性が、貯金を切り崩しながらおんぼろアパートで生活するというとても珍しい小説です。

 

アパートの家賃を含めた月の生活費が10万円なので、主人公のキョウコの行動範囲はアパートの周りだけになります。旅行なんて行ったら10万円なんて簡単になくなりますからね。

 

それでも読んでいて退屈させないのだから、作家の群ようこサンはすごいと思います。

 

キョウコのアパートには他に2人の女性が住んでいて、一人は年上、一人は年下なんですが、二人ともキャラがたっていて、サブキャラにしておくのがもったいないくらいです。こんど、二人を主人公にしたスピンオフの小説を書いてもらいたいくらい。

 

キョウコのように早期退職したいなぁ、と考えておられる方が心配になることの一つに会社を辞めたら孤独になるんじゃないか、ということがあると思います。しかし、この点、キョウコは隣人に恵まれたおかげで楽しそうに生活しています。

 

無職になって一人暮らしを始めると物がいらない、お金がかからない、と繰り返し書かれているのですが、この点、私も無職で貯金生活しているので共感します。早期退職を希望される方の誰もが経済的な問題を心配されると思うのですが、持ち家があって健康であれば、私の経験から、ひと月5~6万円あれば十分に健康的で文化的な暮らしが出来ます。

 

経済的な問題は自分の意志で解決可能ですから、会社を辞めたあと孤独をどのように解決するかに軸足を置いて早期退職を計画されると良いと思います。

 

キョウコのように会社へ行くのが嫌で世捨て人のような暮らしがしてみたい人にはうってつけの参考書になる小説です。興味がある方は、第1巻の《れんげ荘》からお読みください。