小路幸也、新潮社
☆☆☆
主人公は、高校を卒業したばかりのヨシトです。ヨシトは母子家庭で育ち、小さなころから家事を任されてきたため、とてもしっかり者です。しかし、家事、弟と妹のめんどうを見ているうちに自分のことは後回しになってしまい、自分の進路を決められないまま高校を卒業してしまいました。
そんなヨシトを心配した母親が、ヨシトを近所に新しくできたシェアハウスで一人暮らしさせることにします。一人になって、これからの自分の人生について考えなさいということです。
入居したシェアハウスには、50代の男性大家さんが離れにいて、共同生活することになるメンバーは、アラフォーの女性1名、20代の女性3名、30代の男性1名、あとはヨシトです。
私は団体行動が苦手で、コミュ力が低いので、シェアハウスで生活するなんて絶対に無理ですが、幸いにも《シェアハウス小助川》に集まったメンバーは常識人ばかりで、何のトラブルもなく生活がスタートします。
メンバーが他人に強く干渉せず、ゆるい繋がりをもってシェアハウスを運営しましょう、という共通意識を持って生活しているのが読んでいて、私は気持ちよかったです。ゴリゴリの体育会系の人たちのように毎晩飲み会を強要されるとかはゾッとしますから。
お節介はしないんだけれど、困ったときはお互い様の精神があるのも良かったですね。
私はバツイチです。他人と暮らすって難しいと骨身にこたえて離婚したのでシェアハウスで暮らすことは怖くてできませんが、本を通して疑似体験できたので、この本を読んで良かったと思いました。