朱川湊人、NHK出版
☆☆☆
主人公は20代中ごろの知郎(ともろう)です。
物語は知郎の勤めていた会社が突然倒産するところから始まります。そのことを付き合っていた恋人の美智子に伝えると、
「じゃ、結婚しよう。一人じゃ食べられなくとも、二人なら食べられるよ。」
と言ってくれるのです。
美智子とは高校時代からの付き合いで、一つ上の姉さん女房です。そのせいか、言動の端々に包容力が感じられます。この本を読んだ男性の方の中には、
「姉さん女房もイイな」
と思うようになる方もいると思います。
そんな感じで、美智子が働きに行って、知郎が家事をするという結婚生活がスタートです。とても仲の良い夫婦だったため、すぐに女の子を授かり、知郎の生活も忙しくなります。
ココからは、子育てを介して知り合った人々とのドラマが中心になって話が進んでいくのですが、
「こういったことも実際にあるだろうな」
と思わせる事件が次々と起こって退屈することがありません。よく考えられている、良い子育て小説だと思いました。
いろんな人がいる中で、子育てをすることの大変さが分かります。小学校に上がる前のお子さんを育てている方にお勧めの本です。