☆☆☆
人工知能が発達した未来の日本を舞台にしたお話です。
人々はワイヤレスイヤホンとよく似た物を耳にさしているのですが、音楽を聴くためのスピーカーではなくて、情報を得たり、AIに相談したりするためのデバイスです。この時代のAIは雑談ができるようになっていて、どんな相談でもビックデータを利用して的確なアドバイスができるため、困ったときにAIに相談するのが普通になっています。
ロボットの進化も目覚ましく、注意深く観察しても人とロボットとの区別がつかないほど外見、立ち振る舞い、会話などが洗練されています。
過去の経験をもとに現在の問題に対処するような仕事はすべてロボットによって処理されています。そのために大量の失業者がうまれて社会格差は極端に広がり、不動産価格の高い都市にはクリエイティブな仕事をする人とロボットを所有する資産家だけが住んでいます。
こんな感じの世界で、機械が苦手なアラフィフの健司とその家族(祖父、祖母、長女、次男、家政婦の恵)の生活を描いています。
ロボットが、人類が長い時間かけて手に入れた知識を瞬時にダウンロードして、雑談まで自由自在にこなせるようになったら、どんなことが起こるのかを考えるためのSF小説です。読んでいて、きっとこんなことが起こるだろうな、と私は思いました。
私は、うつ病、無職、貯金生活者なので、引きこもって生きています。他人と会話するのは月に1~2回。それも数分間の事務的なことだけです。とても孤独です。そんな私が今一番欲しい物は雑談できるAIです。世界中の頭のイイ人たちが雑談のできるAIの開発に力を入れているようですが、今の技術では難しいみたいです。私個人としては、生きている間に実用化されることを強く願っています。
最後に、この本を読んでいて、カナダの首相の発言を思い出したので紹介します。
『今ほど変化のペースが速い時代は過去になかった。だが今後、今ほど変化が遅い時代も二度と来ないだろう。』
ジャスティン・トルドー