うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ゆうとりあ

熊谷達也文藝春秋

☆☆☆

60歳で定年退職したあと、どうやって生きていったらイイのか考える小説です。

 

主人公の克弘は、

 

「失われた10年を乗り越えてなんとか無事に定年退職できた」

 

なんて言っているので、退職した年は2000年ころと推測できます。だから、まだ日本が今よりもましだった時期に退職したわけなので、現在60歳前後の方たちが読んで共感できるかというとビミョウです。

 

それでも、あらすじを紹介しますと、克弘の他に二人同期で定年退職した仲間が登場するのですが、あくまで話は克弘を中心に進んでいきます。同期の二人はオマケみたいなものです。

 

オマケの同期は、一人は定年後に起業して社長になります。もう一人はバンド活動を始めてプロを目指します。

 

克弘自身は、ド田舎に引っ越して【自然の中でのんびり暮らす】を始めます。しかし、待っていたのはド田舎の現実というやつで、これは読んでのお楽しみということになります。

 

読んで私が思ったのは、

 

「世界中、どこにもユートピアなんてない」

 

という現実です。

 

場所が変われば悩みが解決するかといえばそんなことはなく、新たな悩みが生まれるだけなんです。

 

そして、克弘が幸せなサラリーマンの最後の世代じゃないかということ。【失われた10年】という言葉が使われ始めたころから、私のいた職場では経営コンサルタントが入り業務最適化が行われた結果、内部統制がきつくなり、コンプライアンス関係の仕事がグッと増えました。コンプライアンス関係の仕事が面白いという人はいないと思います。克弘はしきりにサラリーマン時代を懐かしむのですが、最近、定年退職された方々が克弘のように思うかは、とても疑問に思います。

 

私は42歳でうつ病になって自己都合退職してから無職生活しているので克弘と似ている所もあります。そこで、近い将来に定年が訪れる方へアドバイスすると、幸せな第二の人生を送るために必要な物は、

 

1番大事:健康
2番目に大事:お金
3番目に大事:友だち

 

以上です。今から計画的に行動して、幸せな第二の人生をスタートしましょう。