鶴谷香央理、角川書店
☆☆☆
75歳のおばあさんが本屋さんで何気なく手に取ったBL本から始まる友情物語です。
と言っても、おばあさんのお友だちになるのは高校二年生の女の子です。
BL本という本は、主にきれいな男の子と男の子が恋愛するお話です。なので、この分野を仲立ちとして、現実世界で偶然出会って意気投合するなんて確率は限りなくゼロなのですが、この本の中ではおばあさんが勇気を出して女の子を誘って関係が成立します。
公然と話題にしずらいジャンルなので、同志を見つけた二人は急速に仲良しになります。もし、こんなことが現実に起きたら奇跡です。
そこからは、BLを軸にして二人の微笑ましい友情が描かれていきます。これこそ、
【仲良きことは美しきかな】
です。
私は現在54歳で、うつ病、無職のためひきこもり生活を余儀なくされているのですが、誰かと話したくてウズウズしています。それもできたら、若い人と雑談できたらイイなぁ、と願っているのですが、現実社会ではそんな機会はおとずれません。この漫画が一定の支持を獲得したのは、私のような人が案外たくさんいることの証明かもしれません。
5巻まで読み終わったあと、どんな年齢、性別の人がこの本を購入しているのか、角川書店からデータを手に入れて分析したい気持ちでいっぱいになりました。
私は面白く読むことができましたが、いわゆる《日常系》と呼ばれるジャンルが嫌いな人には勧めません。75歳と17歳の友情を見守って、美しいものを見たと思える人向けの本です。