うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

聖なる怠け者の冒険

森見登美彦朝日文庫

☆☆☆

社会人2年目の主人公の小和田くんは、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしするのが唯一の楽しみ。休日はお誘いがなければ一日中、ゴロゴロして過ごしています。

 

そんな小和田くんの前に《ぽんぽこ仮面》なる怪人が現れて、後継者になれと突然せまってきます。

 

ぽんぽこ仮面は、京都の街で善行をすることを使命とする謎の怪人です。しかし、根っからの怠け者である小和田くんは、これを辞退します。

 

ときは京都の夏の風物詩である祇園祭です。お祭り特有の不思議な熱気が漂う中、会社の先輩である恩田先輩に誘われて京都の中心街へ出かけた小和田くんは、自らの意志に反して壮大な冒険へ乗り出してしまうのです。

 

とまぁ、こんな話です。小和田くんの「休日は生産的なことはしない」という強い意志が貫かれていて面白いです。怠け者を冒険物語の主人公とする実験的小説です。

 

大人が読むファンタジーです。手に汗握るとかではありません。全編、ユルユルで、脱力しっぱなしのお話です。読書の時間くらい現実を忘れたい方にお勧めです。