町田そのこ、新潮文庫
☆☆☆
九州だけに展開するコンビニチェーンの《テンダネス》。その名物店《門司港こがね村店》には名物店長がいます。
まじめに働いているだけなのに老若男女を意図せず篭絡してしまう美男子の店長・志波三彦です。
この物語は、コンビニを起点として様々な人が交流し、不安が減ったり、元気が回復したり、悩みが解決したりするお話です。
6話からなっていて、毎回違う人が主人公となります。また、店長以外にも常連客がいて、個性的で面白い人ばかりです。
物語の始め、文章が軽いのでライトノベルなのかと思ったのですが、読み進めていくとしっかりした構成で読みやすく、心温まるお仕事小説でした。
ですから、ちょっとだけ読んで投げ出すのはもったいないので50ページくらいは読んでみましょう。
コンビニという場所は普通、目的があって行く場所なので滞在時間は10分くらいではないでしょうか?現実世界のコンビニは人と人の出会いなんて起こりそうもない場所です。そういった場所を舞台にしてこんなお話を創作するとはお見事だと感心しました。