宗田理、角川文庫
☆☆☆
天才詐欺師と周りから一目おかれていた老詐欺師の喜多三平は、3年前、旧知の秋山大介にまんまと騙されて刑務所に入りました。
この屈辱、この恨み、きっと仕返ししてやると思い続け、仮出所したその日に声をかけてきたのは昔の女の鈴子とその家族でした。
憎い秋山は三平を騙して手に入れたお金を元手に大きなローン会社の社長になっていました。
そこから三平の復讐が始まります。しかし、三平には詐欺師としての美学があって、荒っぽいことはしません。騙されたら騙し返す。それもスマートかつ鮮やかにです。
三平に協力することになる鈴子の家族の他に、敵役の秋山とその部下など、たくさんのキャラクターが登場し、そのキャラクターたちを三平が人物評するのですが、孫がいるような年になるまで社会の日陰を歩いてきた三平ならではの人間観察力はとても面白く勉強になります。
終盤では日本有数の大企業まで巻き込んで大立ち回りを演じます。
さわやかで痛快な小説を探している人にお勧めの本です。