激セマ物件に住む若者を取材するバラエティ番組を見ました。東京では極端に狭い一人用の賃貸物件が流行っていて、そこに住みたくても空きが見つからないそうです。
人ひとりが住むことができる限界の狭さに挑戦している物件ですが、それでも山手線の内側で探すと家賃の相場は月7~8万円です。
お笑い芸人が激セマ物件を訪れて、人ひとりが中に入るのがやっとのシャワールーム、便座に座るとドアが閉まらないトイレなんかを紹介して明るく笑っちゃう番組なので、貧乏が原因の暗さはまったく感じませんでしたが、
「これでいいのか?」
と思ってしまいました。
番組を見ていて、私は、東京が人口のブラックホールであることを思い出しました。東京にはたくさんの若者が夢を抱いて流入してくるのですが、そういった若者は結婚しないし、子供も作らないため、日本の人口減少の原因になっています。
番組に登場した激セマ物件に住む若者は、漫画家や声優になりたい20代後半の若者で、アルバイトをしながら下積み生活を送っていたのですが、アルバイトでは月の収入は10~13万円ではないでしょうか。そこから、家賃7万円を引いたら残りは5万円前後となり、夢を叶えるための活動費などを考慮したら貯金なんてできないと思います。
そして、おそらく30を少し過ぎたあたりでほとんどの人が自分に才能がないことに気づいて身の振り方を考えると思うのですが、そのときには選択肢が少なくなっていて、進退に悩むのではないでしょうか。
大都市を機能させるためには大量の安い労働力が必要で、そこに地方から夢を見ながらやってくる若者がうまくマッチングするために激セマ物件の供給が追い付かない事態になっているのだけど、こんなこと続けていると将来、ロクなことにならない気がします。
東京は、今日も若者の夢を食べて生きています。