森見登美彦、新潮社
☆☆☆
京都大学に籍を置き、モラトリアムを満喫する男子大学生が主人公です。
「通う」ではなく、「籍を置く」としたのは主人公が授業料だけ払って大学の授業には出ていないからです。
私は関西で暮らしたことがないから分からないのですが、この本では、
【京都の女子大生は京大生が奪って行く】
とされていて、主人公もそれを信じて京都大学に入学したのでした。
ところが念願だった京大生になってもモテ期はいっこうに訪れず、苦労して彼女になってもらった女子大生からもあっという間に別れを告げられ、性欲をもてあまして悶々とした日々を送っています。
しかし、そこは偏差値70の京大生です。自分に恋人がいない理由を難解な理屈をこねくり回したあとで、
【何かしらの点で、彼らは間違っている。なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。】
と結論づけ、自己保身するのです。
大衆文化は【エロ】、【グロ】、【ナンセンス】で理解することができますが、この本は百パーセント【ナンセンス】で構成されています。
読んでためになる本ではありません。ぜひ、ユーモアの心をもって、恋人がいないことでのたうち回って苦しむ男子大学生を笑ってやって下さい。