額賀澪、角川書店
☆☆☆
現実には起こらない、《もしも》を使って書かれた小説があります。たとえば、外観はそのままで、人格だけ入れ替わっちゃうなんてやつです。
これは、そんなジャンルの小説なんですが、なんとこの小説では過去にタイムスリップし、人格の入れ替えが4回行われ、主人公の相棒は幽霊です。《もしも》がとても盛りだくさんです。
まず、主人公として、働き始めて10年目の男性教師が登場します。この男性教師は、表面上は熱心で優秀な先生なんですが、心の中では自分は教師に向いていないと思っていて、教師になったことを後悔しています。
そこへ突然、女子高生の幽霊が現れて有無も言わせず過去へタイムスリップです。そこは、男性教師が高校三年生の夏休み前、そこで幽霊は言います、
「教師が嫌なら、ここからやり直せるよ」
どうやら、この幽霊、後悔している人を過去へ連れて行き、やり直しをさせて楽しんでいるようです。
しかし、この幽霊が人格を入れ替える相手を間違えてしまって、男性教師を本人ではなく、高校三年生だったころのクラスメイトへ移してしまったのです。
この幽霊は人格を飛ばすさい、コントロールが悪くて、この後も狙いを2回外してしまいます。その失敗の中には、女子高生も入っていて、お年頃の男子がお年頃の女子の体と入れ替わるという鉄板ネタもちゃんと取り入れています。
この男性教師が、人生の三大後悔ポイントとして次の3つをあげているのが私は興味深かったです。
【受験】、【就職】、【結婚】
みなさんは、この中のどれか1つでも後悔しているものがありますか?
こんな設定で始まる人生やり直し事業ですが、どんな結末を迎えるのでしょうか。主人公は教師になることを止めるのか、幽霊の本当の目的は、などなど、読んでみてのお楽しみです。