五十嵐貴久、祥伝社文庫
☆☆☆
そのままスグにテレビドラマの台本に使えそうな本です。
高沢久美子(27)は就職活動したころ、とくに希望の職種はありませんでした。縁があった所に就職すればイイやくらいの感じで、中堅出版社の永美社を受けたところ、経理部で採用してもらえたので、それからずっと経理を続けて5年経ちました。
仕事に不満はなく、社内恋愛で付き合っている加藤学(31)とも上手くいっており近々、両家に挨拶して結婚しようという話も出ています。
そんな幸福な日常を社長命令がいっぺんに吹き飛ばしてしまいます。ずっと以前に、社員全員が新たな企画を一人一つ出したのですが、久美子の企画が社長の目にとまり、編集経験がない久美子が新雑誌創刊のための編集長を命じられてしまうのです。
27歳で編集長というのは出版業界では抜擢人事です。編集の仕事に携わりたい人からすれば憧れのポストなんですが、久美子にとっては迷惑以外の何物でもありません。おまけに、創刊メンバーに恋人の学まで入っていて、これで学は久美子の部下になってしまいました。
これまで、ルーチンワークだけしていればお給料をもらえていたのに、辞令を境にゼロから雑誌を生み出すクリエイティブな職種になってしまい、環境の激変に久美子はパニックです。悩んでいる間にも時間は流れ、締切日は迫ってきます。新雑誌の創刊は間に合うのでしょうか?!
追記)
文庫本の裏表紙に本の要約が書いてあって、
「お仕事×ラブコメディ!」
とありますが、私はコメディの要素はないように感じました。
「お仕事×恋愛」
だと思います。