藤森徹、日経プレミアシリーズ
☆☆☆
本書は帝国データバンクで働いていたサラリーマンによって書かれたものです。そのため、客観的な事実と、著者による簡単なコメントが記載されているだけで、倒産にまつわるドロドロした人間ドラマは一切ありません。
大企業の倒産は扱っていませんが、天下の帝国データバンクが調査に乗り出す程度には規模の大きな会社の倒産に至る経緯が書いてあります。扱っている会社の数は37社です。
37社もの倒産事例を集めると様々なケースがあり、何か一つだけ教訓を引き出すのは難しいと思いました。【不運】としか言いようがない倒産もあれば、【自業自得】な倒産もあります。
それでもあえてあげれば、【変化に対応できなかった】というのが一番多い原因のように思いました。ざっくり、【変化】としてしまいましたが、
消費者ニーズ、技術革新、商品市況、為替、好不況、同業他社の参入などなど
会社は様々な変化に常に晒されているわけで、これらへの対応を誤ると倒産してしまうわけです。
だから、経営コンサルタントは、
「会社の存続には、選択と集中が必要だ」
なんて安直に言うのですが、これって俗な言い方をすれば、
「一か八かに賭けろ」
と同義ですよね。
でも、神ならぬ人間が経営しているわけですから、未来を完全に見通すなんてことはできないわけで、会社が繁栄するか否かには、確実に【運】の要素もあると思うのです。