枕木みる太、メディアワークス文庫
☆☆☆
下北沢の片隅にある古着屋《ヌックラ堂》を舞台にしたライトノベルです。
ヌックラ堂では、若い男女が店番をしています。
☆一人目、オーナーの女店主
豊富な古着の知識と、古着に宿った過去の記憶を読み取る能力を持っている。
☆二人目、男性アルバイト
電車のつり革が不潔に感じて触れない。他人に体を触れられると吐き気がする。などなど、病的な潔癖症。なのに古着が好きで、ヌックラ堂でアルバイトを始めた。
ライトノベルで若い男女が、閑古鳥が鳴いている古着屋で二人っきりで店番をしているのに、男性アルバイトの潔癖症と、がさつな女店主の人柄で恋愛要素はありません。あえて、お約束を外したのでしょうか?
物に宿った記憶を読み取ることができるキャラというのは珍しくないと思うのですが、この女店主のそれは強力で、ボンヤリと分かるのではなく、ハッキリと分かるため、古着に触ったとたん全てが解明します。そのため、お話に膨らみがありません。
【触った】→【解決】
なのです。物語は、起承転結と言いますが、この小説は【起】と【結】だけでできています。作り話しですから、能力者を登場させるのはかまわないのですが、あまり強力な能力をキャラに与えるとつまらない小説になるというお手本です。
この小説が処女作ということだったので、つまらなかったのも仕方がないと思いましたが、信用のある方から強く推薦でもされないかぎり、私はこの作家の本をこれから読まないと思います。