うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

コンビニ人間

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村田紗耶香、文春文庫
☆☆☆
短編小説です。その気になれば、一日で読めます。

 

主人公は、古倉恵子、発達障害、36歳、独身、恋人なし、安いアパートで独り暮らし、同じコンビニでアルバイトを18年間続けている。

 

そして、もう一人の主要登場人物が白羽という男です。35歳、住所不定無職、貯金なし、180センチを超える長身で、針金人形のように痩せている、まだ何も成し遂げていないのに自尊心が高くて周りを馬鹿にしている、金に意地汚くてそのために約束を平気で破る、安心してひきこもり生活を送ることが夢。

 

恵子は《普通》が分かりません。そのため色々とやらかすのですが、一つ例をあげると、小学生の頃に男子が取っ組み合いのケンカを始め、女子が「誰か止めて!」と大声を出したのを受けて、道具箱にあったスコップで男子の頭を思いきり殴りました。ケンカは終わったのですが、恵子の異常行動が問題になり、恵子は家族からも異質な物として扱われるようになります。

 

ただし、恵子はサイコパスではなさそうです。《普通》になりたいと願っているからです。そんなときにコンビニに出会います。コンビニは全国どこでも同じサービスを提供するために何から何までマニュアル化されてます。《普通》は何かを考えなくともマニュアル通りしていれば周りに溶け込めるのです。恵子にとってこんなに居心地の良い所は他にありませんでした。そのため、気が付いたら18年目になっていたというわけです。

 

そのコンビニに白羽がアルバイトとしてやってくるのです。目的は、自分をペットのように飼ってくれる女を見つけるためです。

 

こんな問題ありの二人が同棲生活を始めるのですが、どんなことになって、どんな結末を迎えるかはぜひ読んでください。二人は世間から見たら異端者なのですが、二人の世間を批評、あるいは分析する言葉は、

 

「ひょっとして、世間が間違っているんじゃないか?」

 

と思わせる部分もあって考えさせられます。

 

でも、二人は世間から受け入れられることはないだろうな、と思いました。とくに、白羽は高確率でホームレスになって河川敷で野垂れ死ぬと思います。サービスや富を生み出せない人間に世間は冷たいからです。