小川糸、幻冬舎文庫
☆☆☆
小川糸さんが、2012年1月から12月までに心に残ったことを書いた日記エッセイです。
主に、海外旅行、美食、ショッピングについて書いています。しかし、ガイドブックとして読むのには記載が簡潔すぎて役立ちません。小川さんが旅先でどんな気持ちになったのかを知るための本です。
数か月間、外国で暮らしたいなんて思っている方がいらっしゃると思うのですが、作中で小川さんがまさにそれを実行されているので、参考にするのも良いと思います。
それ以外は、小川さんのファンで、小川さんのことなら何でも知りたいという方のための本でしょうか。
ちょっと気になったのが、小川さんがお金を使うことに罪悪感のようなものを持っていることでした。
《物を持たない暮らし》
《環境にやさしい暮らし》
《お金をかけずに楽しく暮らす》
なんて言葉が随所に現れるのですが、この本を読んで私が小川さんに持った印象は、
【知的好奇心が旺盛で、上品なお金持ち】
です。たぶん、無作為に選んだ日本人10人にこの本を読んでもらったあとで、
「小川さんは倹約家ですか?」
と質問したら、10人が
「いいえ」
と答えるはずです。
人は収入に見合った生活をすればいいと思うのです。とくに、お金持ちが世間から嫉妬されることを気にして節約生活するのは景気が悪くなる原因です。
「自分で稼いだ金を何に使おうが、俺の勝手だ!」
くらいの気分でいてもらわないと景気が悪くなるばかりです。たくさん収入がある人は、たくさん使いましょう!