三浦しをん、角川書店
☆☆☆
【のの】と【はな】という、二人の女性の手紙のやり取りだけを本にしたものです。もちろん、作者である三浦しをんサンの作り話です。
大まかに紹介すると、高校生、大学生、40代の3つの時代に別れて構成されています。
これまで私が読んだ三浦サンの小説の主人公は共感しやすい人が多かったのですが、【のの】と【はな】は特権階級の人です。二人が通った女学校は中高一貫の超名門私立で裕福な家庭の子供しかいません。
【のの】は東京大学、【はな】は名門私立大学へ進学します。
【のの】は東大を卒業後、文筆業で生計を立てるようになります。
【はな】は大学卒業を機に両親のすすめる将来有望なキャリア外交官と結婚し、夫の赴任地に同行するため海外生活を始めます。
これだけでも一般の人たちには共感が得られにくいキャラなのに、さらに二人はバイセクシャルという設定まで追加されています。生々しいセックスの描写はありませんが、二人とも両性と肉体関係を結んだことを手紙の中で告白しています。
私は、本を読む目的は、
①知識を得るため。
②仮想体験するため。
の2つかな、と思っているのですが、ここまで私の日常から遠くなってしまうと、
「これだけ人間がいれば、なかにはこんな人もいるかも」
くらいの感想しか浮かびませんでした。
この本を読んで感動された方もいると思うのですが、私は最後まで読んで疲労感だけが残りました。