三浦しをん、中央公論新社
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東京の善福寺川の近くに、古くて大きな洋館があり、そこに四人の女たちが暮らしています。その構成は、
牧田鶴代:佐知の母親、資産家の娘に生まれ、苦労しらず。
牧田佐知:37歳独身、プロの刺しゅう作家。就職したことがない。
谷山雪乃:37歳独身、保険会社勤務、毒舌。
上野多恵美:27歳独身、雪乃の会社の後輩、天真爛漫。
鶴代と佐知は親子なので、同居していることに説明はいらないと思います。しかし、雪乃と多恵美が同居するに至った経緯は変わっていて、説明すると長くなるので、この本を読んでもらうよりありません。
ストーカーが現れたり、開かずの間からミイラを発掘したり、ドラマチックなことが次々起こり、退屈せずに最後まで読むことが出来ます。
そして、事件に直面したときの女たちの反応が共感をよぶこと間違いなしなので、三十歳以上、独身の人たちに読んでほしい一冊です。その中から、佐知が老後を心配するシーンを紹介しておきます。
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老後について考えると気絶しそうになる。だが、老後を迎える前に死ぬかもしれないのに、あれこれ憂うなど馬鹿みたいだとも思う。紛争地帯で命の危険に日々さらされて生きる人々は、老後のことなど考えないだろう。
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気になった方は、読んでみて下さい。