2019年11月21日に私の母が亡くなりました。
母が亡くなったことによって生じる行政手続きをやり終えて、遺品整理に取り掛かりました。
母の部屋は物であふれかえっていて、ゴミ屋敷一歩手前という状態です。そんな中、洋服を捨てるために袋詰めしているとコートの内ポケットからりそな銀行の通帳が出てきました。残高が14万円ありました。
亡くなったとき、母は重い認知症でした。認知症の症状に《猜疑心が強くなる》というのがあり、ウチの母がまさにこれに当てはまりました。母は家族のことを泥棒だと思っていて、預金通帳と印鑑はすべて隠されてしまいました。そのため、どこから通帳や印鑑が発見されるか油断できません。
キャッシュカードも一緒に見つかったので、翌日、りそな銀行へ行ってATMで出金しようとすると、
【このカードは使えません】
とのメッセージが表示されます。銀行員に調べてもらうと、
「暗証番号を何度も間違えて入力したため、カードを使用不可にしました」
との回答。
『面倒なことになった・・・』
と口に出さず思ったのですが、嘘をついてバレるとあとが大変なので、正直に、
「この通帳を作った人は死んでいます。残高を出金する方法を教えて下さい」
と頼むと、20分ほど待たされたあと四畳半くらいの半個室に案内され、以下の書類を持参するように講義を受けました。
☆凍結された銀行口座からお金を出金するのに必要な書類☆
①(被相続人の)全部事項証明(戸籍謄本)・除籍謄本・改正原戸籍または、法定相続情報一覧図
②法定相続人全員の印鑑証明書
③実印
④通帳
この中で面倒なのが①です。
【被相続人の出生から死亡するまでの連続した状態の謄本】を求められているので、母の本籍をさかのぼり、初めて戸籍に登録された市町村へ行って手続きしなければならないのです!母は子供の頃、たいへん貧しく、住居を転々としていたため、生まれたときにどこで暮らしていたのか家族の誰も知りません。オーマイガー!
煩雑な手続きの説明を30分ほど聴講したあと、
『14万円は諦めよう』
と思い、
「出金することは諦めます。手続きはしません」
と言って帰ろうとすると銀行員が、
「あなたが本当の相続人か証明するものが現在ないので、具体的な金額を教えることは出来ませんが、あなたのお母様は当行に定期預金を持っていて、そちらの金額は諦めるのにはもったいない金額です」
と言うのです。
そんなことは初耳で、「はぁーっ?」って感じで固まってしまい、
「そんな通帳を見たことがありません」
と正直に答えてしまいました。銀行員は黙って私を見ています。思わず、
「私はうつ病で、こんな風に外出して人から話を聞くだけでとても疲れてしまうし、死んだ母は重い認知症で通帳と印鑑を隠してしまったか捨ててしまいました。手続きを簡便にする特例処置はないものでしょうか?」
と泣き落としを試みるも、
「この手続きは、法律に裏付けされたものなので何一つ省略できません」
と同情する表情で言われてしまいました。
ショックで呆然となりながら家に帰り、ゴミ屋敷一歩手前の物であふれる母の部屋を見ていたら、
『銀行を相手にするのは、この部屋を片付けてからだな。さもないと、通帳を発掘するたびに必要な書類をそろえるために奔走しなければならない』
と当然のことに思い至り、
『うつ病が悪化しない程度に、少しづつ片付けるか・・・』
と決心しました。
このブログをもし読んだ方たちは、相続に関する相談を親が元気なうちに済ませておくことをお勧めします。そうすれば、亡くなった後に銀行からスムーズにお金を出金できます。
とは言っても、お金に絡む話はどうしてもドロドロしてしまうので、なかなか親に対しても出来ませんけどね。私もその一人でした。そして、今、大変な目にあっているわけです。自業自得です。