母が去年の11月に亡くなり、義務としてやらなければならない行政手続きが一段落してから、ポツリ、ポツリと遺品整理をしています。
それにしても、すごい量なんです。一度に捨てると近所に目立ってしまうので、少しずつ捨てているんですが、少しも減った気がしないので達成感が湧かず、やる気を失うという悪循環に陥っています。しかし、私以外にこれを実行する者はいないので、仕方ありません。
そして、母にとっては価値のあった物の大半は私にとってゴミでしかなく、
「なんで、こんな物に何万円も払ったのだろう?」
と疑問に思うことばかりです。
最低限生活するのに必要な物って、じっくり考えてみると案外と少ないものです。でも、私の母と同様にそれをはるかに超える物に囲まれて暮らしているのが日本人の現状じゃないでしょうか?
ゴミの山となった遺品を眺めていると、
「お金がない、お金がない」
と呪文のように繰り返し、最低賃金のパート労働で疲労困憊だった母が思い出され、
「不必要な物を買わずにいたら、奴隷のように働かなくてもよかったんじゃない?」
なんて思ってしまいます。
好きな物に囲まれて暮らしたいと思う人の心を私も持っていますが、母が遺した膨大な物を前にすると、
【どんなに物を集めても天国には持って行けない】
という真理を突きつけられ、空しい気持ちになります。