浜口倫太郎、双葉社
☆☆☆
宮古島で暮らしている11歳の女の子が主人公です。
父子家庭で、お父さんは民宿のオーナーです。
お父さんはいい加減で大酒飲みだけれど、陽気で面倒見が良いので民宿の中はいつも誰か人がいて、賑やかです。
そんなお父さんがユーチューブを始めます。はじめはお金のために始めたのかなぁ、と周りの人たちは見ていたのですが、お父さんの熱の入れようは常軌を逸しているように思えて、周りはほどほどにするように忠告するのですが、言うことを聞きません。実は、それには深い理由があったのです。
物語の中でたびたび、10年前の出来事が回想されるのですが、テンポ良く挿入されているので、物語の流れを邪魔していません。最初のうちは、現在と過去の関係が分からないのですが、読み進めて行くうちに、お父さんがユーチューブに必死になる理由と繋がります。
宮古島の美しい景色と、粗野だけれど優しいお父さんの感動的なお話です。テレビドラマの原作にしたら良いと思うのだけれど、11歳の女の子でこの大役を演じられる子供がいるかが成功の鍵になると思います。