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主人公は笹倉里加(りか)、16歳、高校一年生です。
物語の冒頭で、川で溺れて心停止してしまいます。臨死体験をして、三途の川を渡りそうになりますが、対岸で亡くなった祖母が、
「ここはお前の来るところじゃないよ!」
と声をかけてくれたおかげで目を覚まし、生還しました。それからというもの、いくつかの特殊能力を獲得します。それは、
①眠りにつくと幽体離脱して、好きな所へ飛んでいける。
②見える範囲の人ならば、遠く離れていても会話を聞き取れる。
③予知夢を見る。
などです。
里加は、私立の小中一貫校に通っているので、クラスメイトは裕福な家庭の子供です。しかし、お金がかかる学校に通っているということは、親に経済的な問題が生じるととたんに子供にもそのしわ寄せがやって来ることを意味しています。
そんなピンチを里加は、獲得した特殊能力を使って、クラスメイトの力になってあげるのです。と言っても問題の根本解決をするわけではなく、やぶれかぶれになって無茶な行動をとるクラスメイトに現実を受け入れさせて、地に足着いた生活をするように軌道修正するだけですけれど。
物語の中では色々な理由で不幸になる家庭が登場するのですが、私はこの本を読んでいてトルストイの有名な言葉を思い出しました。
【すべての幸福な家庭は互いに似ているが、不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である。】
まったく、その通りだと思いませんか?
超能力を持った女子高生が活躍する小説です。