大原扁理、ちくま文庫
☆☆☆
社会へ出る一歩手前の子供たちに向けて書かれた本です。
学校で、どうしても集団行動ができない、みんなが我慢できることができない、なんて人向けに書かれた本です。ですから、学校が楽しくて毎日が充実している、なんて人はこの本を本屋の本棚に戻して、引き続き充実した人生を楽しんでください。
ただし、この本に書いてあることはとても特殊で、誰からも共感を得られるような内容ではありません。あまり期待を持ちすぎないようにしてください。
作者は東京の多摩地区で家賃2万5千円のアパートに住んで、週2回介護の仕事をして生計を立てています。仕事がない日はひたすら節約生活に励んでいます。冷房も暖房もない部屋で春は野草を摘んで食べ、交際費を節約するため友だちを作らないようにし、図書館で借りた本を読み、家の周りを散歩する、公園のベンチでぼんやりする、雨の日は部屋で寝転んでずっと雨音を聞く、などを延々と行って時間をやり過ごす生活です。
どうです?うらやましいですか?
しかし、《働かない》ということを選択するかわりに、いさぎよく貧乏を受け入れて楽しんでいる姿を立派だと思いました。世の中には、働かないくせに貧乏は嫌で、違法行為に手を染めて大金を手にして贅沢している人もいますからね。
ざっくりとこの本の感想を述べるなら、
【貧乏をいかにしてポジティブにとらえるか】
です。
世の中に甘い話はないってことですね。それでも、どうしても働きたくない若者は読んでみる価値があるかもしれません。